いつかギラギラする日
平成四年の作品
「頭蓋骨まで熱くなる」
この映画のキャッチコピーだが決して大袈裟ではない。
北海道が舞台。
三人組の銀行強盗のプロ(萩原健一、千葉真一、石橋蓮司)は現金輸送車の情報を持つてきた若者(木村一八)を仲間に入れる。
現金輸送車の強奪に成功したが、当初二億と思はれてゐた現金は五千万しかなく、仲間割れが発生する。
木村一八に千葉真一、石橋蓮司が殺され、強奪した五千万を一人占めされるが、萩原健一が取り返さんと追ひ続ける話である。
最初千葉真一の女だつた荻野目慶子は木村一八に寝返り、ショーケンや警察に対し暴れまくる個性の強い役だ。
実にエネルギッシュでよい作品だつた。
仁義なき戦いで有名な深作欣二監督の作品だが、監督は常にこのエネルギッシュさに拘つてきたやうだ。
監督はたしか日本人が戦後大人しくなつてしまつたことを大変憂ひてをり、より活発になることを願つてゐるとインタビューでおつしやつてゐた。
故に深作映画の代名詞でもある過激な暴力シーンは、暴力といふ手段を用ゐてエネルギッシュさを表してゐるのだと思ふ。
本作の終わり頃にも、かういふ台詞があり、印象に残つてゐる。
「お前二十歳そこらでそんな格好(警察の制服)してて恥づかしくねえのか?ロックしろよロック。」
といふものだ。この台詞は一人が死ぬ間際に言ふ台詞であり、結構重要といふか監督のメッセージ性が強いものなんぢやないかと思つてゐる。
また、本作ではカーチェイスにも気合ひを入れてゐたやうで、一番印象に残つてゐる。
最後は大量の警察車両の上を車で走るのだが、Wikipediaによるとこの時車を壊し過ぎたために、最初三億だつた制作費は十一億に達したさうだ。
しかし興行収入が大変悪く、制作会社が一つ潰れたそうな(笑)
まあ興行成績は置いといて、一流の監督と俳優、制作費が生み出した面白い作品であるから、見ることを強くすすめる。
アクションシーンもショーケンも決してハリウッドに負けてないぞ!!
ローグワン
スターウォーズは昔から見てゐるが、新しい作品は微妙である。
ep7は微妙であつたが、過去の作品を台無しにしてゐないだけましであつた。
しかしep8は駄目だな。ルークが迷惑な爺さんになつてゐて、過去作ぶち壊しだ。前からのファンには不評だらう。
しかし番外編であるローグワンは結構よかつた。
自分も面白いと思つたし、評判もいいらしい。
最初オープニングがいつもと違ふし、前半少し退屈だつたが、後半の戦闘シーンはよく出来てゐた。
けど一ついひたい。
何故ドニーイェンが出てゐるのだ!?
スターウォーズファンには常識であるが、スターウォーズの元ネタは日本の時代劇であり、ジェダイの騎士は武士がモデルなのだ。
故にライトセーバーは日本刀と同じやうに両手で使ふし、三船敏郎もオファーされた。(断つたが。)
ep4の序盤は黒澤明の時代劇映画「隠し砦の三悪人」まんまであることは見てゐればわかるし、ルーカス監督も公言してゐたはず。
なのにだ、アジア人枠で出てゐるのが日本人ぢやないのはおかしいだらう!
しかもジェダイの寺院の僧侶ならなおさらだ。
カンフーぢやないのだよ。スターウォーズは!
しかし、日本人の俳優にぴつたりの人がゐないのも事実だ。これは反省するべきだらう。
一昔前なら何人もゐた時代劇俳優は今はゐない。だから殺陣と演技がどちらもできる人がゐないのだ。
萬屋錦之介は殺陣は勿論だが、演技も若い頃から上手かつた。
ベルリン国際映画祭で金獅子賞とつてたしね。
主演映画が。しかも確か一人七役で(笑)
まああの人はスターウォーズのイメージとはあはない気がするが、もしかしたら実力で映画に合はせられたかもしれない。
さういふ実力派の時代劇俳優を育てるべきだと私は思ふ。時代劇は日本の文化だ。
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カイザーギドラ
押し入れから懐かしい物が出てきた。
昔買つた怪獣のおもちやである。
キングギドラと思はれるかもしれないが、これはカイザーギドラといふらしい。
ゴジラファイナルウォーズといふ映画に出てきたやつだ。
当時まだ幼かつた私は怪獣がたくさん出てきて無邪気に喜んでゐたやうだが、一緒に見てゐた親の評価は高くなかつた。
大きくなつてから見てみたらそれに納得した。
大変つまらなかつた。
しかし、一つ気にいつたシーンがある。
それは米国版ゴジラが日本のゴジラに瞬殺され、宇宙人にも酷評されるといふものだ。
ゴジラに一瞬で吹き飛ばされたアメリカゴジラを見て宇宙人が言ふのである。
「やつぱりマグロ食つてるやうなのは駄目だな」と。
これはいい。もつとかういふことはすべきだ。
だいたい、昔から米国は日本の映画、アニメ、マンガ等すべてパクるのである。
私はそれが大嫌ひだ。
そしてゴジラを愛する者としてゴジラがハリウッドの物と化すのを大変恐れてゐる。
前のゴジラは駄作だったが最近のはだいぶましなやうで本気で心配してゐる。
それに日本の映画会社も悪い。
金になるのだらうが何でもパクらせるとは。
荒野の用心棒とか勝手にやられてたのもあるけど、大抵許可だしてしまふのだから情けない。
邦画は日本の文化だ。
他国に盗まれんよう、守つていきたいものである。
日本の奇跡
日本刀とは日本固有の技術によつてつくられる刀剣のことだ。
我が国は大昔から鉄や刃物に関する技術では世界一であり、日本刀にはその独自の技術がつぎ込まれてゐるのである。
さらに、日本刀は刃物としての性能のみならず、鉄の芸術とでもいふべき美しさも持つ。
それは日本刀独自の折り返し鍛練と焼刃によつて生じる独特の地鉄や刃文の美しさであるが、そのどちらも切れ味と強靭さを追い求めし古人の努力の結晶であらう。
だが、ここで一つ質問したい。
何故我々は地金や刃文を観賞できるのか。
それは研師の高い技術と、刀用の砥石のおかげである。
このどちらもそろわずして、日本刀の観賞は体佩以外不可能である。
特に、砥石に秘密がある。
刀剣の研ぎに使はれる砥石は内曇砥石をはじめとした高価な天然砥石であり、その砥石が日本刀の刃中の働きを見せてくれるのだ。
普通の砥石では絶対に見ることはできない。
どんなに細かい砥石をつかつても鏡面になるだけだ。
そして、初めて知つた時は大変驚いたが、なんとその内曇砥石は日本だけ、しかも京都でしかとれないさうなのである。
これは奇跡である。
高い技術力とわづかな天然資源の両方ともが世界でただ日本にのみ存在するのだ。
かういふ事を日本人は誇るべきぢやないのか。
つまらん外人観光客共にやたらと聞くな。
最近外人に「日本の凄いところは?」とか聞くテレビ番組がやたらとあるが。
自分の国を誇りに思ふのは大事だが、外人に聞くと自分で自分を誉めてもらふよう仕向けてるみたいで見てて痛々しい。
それに俺は外人などに日本の本質は理解できんと思つてゐる。
男の映画
世の中には映画がたくさんあるが、男が本当に見るべき映画とは何だらうか。
今回は全日本男児に一本の映画をおすすめしようと思ふ。
それは 「昭和残侠伝 唐獅子牡丹 」である。
昭和残侠伝シリーズ二作目である。
話は一作目と連続性はないため本作から見て大丈夫だ。
主人公(高倉健)のやくざは渡世の義理からある善良な組の組長を斬つてしまふ。
何年も経ち刑務所から出た彼が戻つてみると、その組は組長を失つたせいで勢力が落ち、敵のやくざに苦しめられてゐた。
彼は申し訳なく思ひ、正体を隠してその組を敵やくざから必死に守らうとするが、最後は敵やくざの卑劣に耐えかね、有名な唐獅子牡丹が流れるなか高倉健は池田良と共に着流しで敵の事務所に殴り込む。
その殺陣も迫力があり、見ごたへがある。
昔から高倉健は日本男児の理想であり、特に本シリーズは学生運動にも影響を与へたといはれてゐる。
最近はやくざといふだけで嫌がる人が多いが、任侠映画は男の道を学ぶことのできる映画だ。
また、本作ではないが「博打打ち 総長賭博」といふ映画は任侠映画ながら作家の三島由紀夫に芸術性を高く評価されてをり、食はず嫌ひは愚かだと言はざるを得ない。
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日本語の乱れ
最近やたらと目にする、「いう」を「ゆう」と書くやつら。
これは現代仮名遣ひでも明らかに間違つてゐる。
それに「ゆう」は文字にして美しくない。何故間違へてゐることに気づかんのだ。
このやうな正しくない日本語を使ふ者は総じて馬鹿だ。大いに反省すべきだらう。
しかし、かういふ馬鹿が生じたのには現代仮名遣ひにも責任があるといひたい。
仮名の始まりは万葉仮名だ。
そこからひらがなになつたのであるが、その時は仮名と発音にずれは無かつた。
しかし、平安後期になり日本語が変化したことによつて仮名と発音にずれがでる様になつた。
(例へば、思fuと発音してゐたのが、思uと発音する様になつた。)
その時に決められたのである。仮名は表音(音を表す)より、表意(意味を表す)が優先されると。
故に戦時中までは単語の仮名は変へず発音のみ変化していくことが当たり前であつた。これが歴史的仮名遣ひであり、今も私は使つてゐる。
しかし戦後になつて現代仮名遣ひが使はれる様になつた。
現代仮名遣ひとは仮名のルールを変へ、発音通りの仮名を用ゐるものだ。表音が目的なのである。
しかしながら、現代仮名遣いは必ずしも表音文字ではなかつた。
例へばこんにちはの「は」はwaと発音するし、最初にいつた「いう」も発音でいへば「ゆう」なのである。
すなはち現代仮名遣ひとは全て表音ではなく、歴史的仮名遣ひの要素もかなりあるといふ、中途半端な代物なのである。
それなのに我々は表音だと教わつた。これが、「いう」を「ゆう」と書く愚か者共を生んだに違ひない。
これを読んだ諸君も出来ることなら歴史的仮名遣ひを使つて欲しい。
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